若林、急逝した前田健との思い出を語る…「うちの事務所で俺が一番叱られてんじゃないかな」

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若林、急逝した前田健との思い出を語る…「うちの事務所で俺が一番叱られてんじゃないかな」ラジオ芸人の小ネタトーク4月30日放送「オードリーのオールナイトニッポン」より。

若林が4月26日に急逝した、事務所の先輩・前田健について触れた。若林は「話すかどうか迷った」と前置きをして、前田との思い出を語った。

 

若林正恭:
マエケンさんが倒れた日の夕方くらいに、病院のICU、僕行きまして、マエケンさんのお兄さんがちょっと面会させてくれるように頼んでくれて、会ったんですよ。

春日俊彰:
ほう。

若林正恭:
その時、ICUで色んな管とか付いていたんですけど、普通にすぐ起きそうな、なんか寝てるだけみたいな気がしてね、手も握ったんですけど、全然温かくて、顔色も悪くないしっていう感じで…

春日俊彰:
ほー

若林正恭:
何だろうなぁ。春日さんもよくご存じと思うけど、マエケンさんって、なんかそういう死の淵から甦ってきて、物凄い作品を作ったりとかしそうな感じ?あるじゃないですか。

春日俊彰:
はいはい。

若林正恭:
『しくじり先生』とかで松村さんの授業を受けたりしたのも、何かあるのか、「絶対意識戻るだろうな」っていうのも何か確信みたいな感じがあって、ICU出たんですけど、ここ何日かは、みんなもそうだと思うんですけど、ずっとマエケンさんの事を思い出してるんですけど。

春日俊彰:
はいはい。

若林正恭:
色々思い出すし、何だったらうちの事務所で俺が一番叱られてんじゃないかなと思って。

春日俊彰:
あー、それはあるかもしれんなぁ。

若林正恭:
ショーパブの『キサラ』が一緒だったから、『キサラ』の後は必ずご飯連れていってくれたりしてて…初めて会った時の事も思い出して、「ケイダッシュステージに今月から入ります若林です。よろしくお願いします」って楽屋で言ったんだよ。シアターDの渋谷で。

春日俊彰:
はいはい。

若林正恭:
そしたら、他の先輩は「おう」とか「おう、よろしくね」みたいな感じなんだけど、マエケンさんだけは胸に手を当てて、「前田健です。よろしくお願いします」って凄くきれいに頭下げたんだよね。

春日俊彰:
独特だね(笑)

若林正恭:
それが凄い「後輩にこんな頭下げる人いるんだな」なんて思って、それからは俺も挨拶は後輩でも敬語でしようかなって思ったりなんかして。

春日俊彰:
なるほど。

若林正恭:
その後に。初対面よ。顔をジーっと見られて、「みんな死んじゃえって顔してるね」って言われたんだよね。

春日俊彰:
ほー、初対面で。

若林正恭:
実際、その時21歳ぐらいだけど、俺。実際、みんな死んじゃえって思ってたから、なんかそういう風にすぐ見抜くみたいな、心眼みたいなのがある人じゃない?

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
それで何年か経っても、「俺、初めてお前に会った時何て言ったんだっけ」って話して「みんな死んじゃえって言われたんですよ」って二人で笑うみたいな事が良くあったなとか。

春日俊彰:
うんうん。

若林正恭:
で、まぁ怒られたね。春日さんにも色々聞きたかったんだけど、ネタ褒められた事あったかね?テレビ出始めた後も含めて。

春日俊彰:
ネタを?

若林正恭:
褒められた事ってないよね。多分。

春日俊彰:
「面白い」は無いかもね。「良かったね」とかは言われたけどね。

若林正恭:
そうそう。結果がね。

春日俊彰:
「世に出る事が出来て良かったね」みたいな事あるけど、「あのネタ面白い」とかは無いかも。

若林正恭:
無いんだよ。俺も思い出せなくて、褒められた事を。そういえば良く叱られて、正直に言うと、認められたいって気持ちの裏返しなんだけど、見返してやるっていう気持ちのほうを育んでくれたなって人で、褒められた事あったかなぁって思ってね、ずっと思い出してたら、いっこだけあって。

春日俊彰:
あぁ、そう。

若林正恭:
『モンスター平田』だけすげー褒められたんだよね。

春日俊彰:
『コレアリ?』の?

若林正恭:
ちょっとゆとり世代っていうかサイコパスの…「あれはお前だよね」って凄い言ってくれて、褒められた事ないもんだから、マエケンさん、それ凄い褒めてくれたなぁっての思い出して、何かどっちかって言うとお芝居が好きだからね。

春日俊彰:
うん、うん。

若林正恭:
漫才が好きってのはあんまり無かったよね。話しててね。

春日俊彰:
イメージないから。近ととかの人だからなぁ。

若林正恭:
凄い怒られて、生意気言うんだよね、俺もね。色なとこ連れて行ってもらって、ご飯食えないから、お金が無いから。腹をへこませて写メを撮るのよ。で、「限界です」って送ると、見せの住所と名前だけ送り返してきて、ご飯奢ってもらうってうのを、俺、何食やったか(笑)

春日俊彰:
あったなぁ。飯はだいぶ食わせてもらったなぁ。

若林正恭:
凄いオシャレなとこ連れて行ってくれるのよ。青梅街道沿いの知る人ぞ知るステーキ屋とか、ビーフシチューが美味しい家族でやってるとことか、あと四谷だったかなぁ、熱帯魚が泳いでるようなオシャレな、長細いグラスでジンジャーエールが出てくるようなところに深夜連れて行ってくれて、「お前、こういうのが世の中にあるって事を知っといたほうがいいんだ」って言って、和三盆を使ったようなプリンを二人で食べてさ、他はみんなカップルだらけなのに(笑)

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
俺、25ぐらいだったかな。マエケンさんが33とかか。代官山の民族音楽がずっと流れてるみたいなカフェみたいなところでチャイ飲んだり、「チャイっていうものがあるんだぞ」とか言って(笑)そういうの思い出してね、まぁ怒られたね。「もっと人に謙虚になれ」と。

春日俊彰:
うんうん。

若林正恭:
それも「関係ないですよ」とか良く言ったりして、俺あんときは良く言い返していた。あとは愚痴?「ライブのこういうとこが気に食わない」とか「先輩が…」とか良く聞いてもらって、下向いてね、自分ではロジカルなつもり「こうこうこうじゃないですか」ってパッと目線上げるとね、マエケンさんが帽子を取って俺の事じーっと見てるんですよ。

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
で、俺が、「メチャクチャはげてるじゃないですか!」って言って、「いや、違うんですよ。マエケンさん。俺真剣に話してんですよ」みたいな。俺のその何か机上の空論みたいなへ理屈をね、ハゲ一発で吹き飛ばすようなね(笑)

春日俊彰:
あのハゲは威力あったからなぁ。

若林正恭:
夜中行くと、電気消してロウソクに火を灯しだすんですよ。マエケンさんが。部屋で。

春日俊彰:
ほう。

若林正恭:
で、いっつもバスローブなんですよ。

春日俊彰:
何してんだよ(笑)明かりつけて普通の服着ろよ。

若林正恭:
それで、屋上を改装したから見に行こうって行ったら、マエケンさんが屋上をDIYでウッドデッキみたいに、ちょっと朽ちた木で打ちっぱなしってあって、真冬の1月なのに二人でダウン着てさ、ロウソクに火を付けて、外で二人でコーヒー飲んで、俺もう寒くて(笑)

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
「電車賃でお金が無くってライブ行けないんです」って時には「原付あげるよ」って、いきなり原付もらったりして、俺5年くらい乗ってたんじゃないかなぁ。

春日俊彰:
うんうん。

若林正恭:
あと、俺彼女なんか全然出来ない時に、ファミレスでナプキンに「自分の好きなタイプ言ってみろ」って言って、言ったら、絵上手かったじゃない。凄く。俺の理想の彼女を描いたんですよ。前田さんが。そしたら、ドンピシャでタイプだったんですよ。それが。

春日俊彰:
ほう。

若林正恭:
だから、俺ずーっとそれ財布に入れて、それを彼女として過ごしていた時期あったんですよ。

春日俊彰:
気持ちわりーな(笑)何だそれ?

若林正恭:
で、何が一番怒られたかって言ったらね、俺マエケンさんが言った事に対して「でも」で話始める。「おまえ『でも』って言うな」って凄く怒られて、「人の意見は一回自分の中で入れてから、自分の意見を言え。『でも』で突っぱねるな」って。

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
人にでもって言うなって良く言われてて、毎回、このラジオを車の中で聴くんですけど、全然「でも」って言ってるよね。

春日俊彰:
あぁ、まだなおらず。

若林正恭:
全然、なおんないよ。

春日俊彰:
簡単になおるもんでもないんだろうね。

若林正恭:
だからなおさなきゃなぁって思ってて、それで3か月に1回くらい「今、幸せ?」ってメールが来てたんですよ。

春日俊彰:
ほうほう。

若林正恭:
毎回、「うるせーな」とか返しちゃってたんですけど、 それで「楽しいですけど、それだけじゃないですね」みたいな事を言ったら、「お前の性格だったらそうだろうね」みたいな事を言ったりしててね。

春日俊彰:
ほうほう。

若林正恭:
このラジオでも散々、メールでもトークでもいじってるけど、全然それは許してくれたってうか、笑ってくれてたけどね。「ツイッターに来るよ。お前のとこのリスナーから」って。

春日俊彰:
そうか。それがあんのか。そういうのでバレんだなぁ。

若林正恭:
それで、映画をマエケンさん撮ったじゃない。それを見返したんですけど。あれほど前田健が詰まってる作品はないね。小説もそうだけど。改めて凄い、そう思ったね。

春日俊彰:
うん。

若林正恭:
で、よく言われてたよ。「なんで俺が芸名じゃないか分かる?」みたいな。前田健って本名じゃないですか。

春日俊彰:
はいはい。

若林正恭:
何か、「自分の名前を残したい」みたいな事を言っててね。一番印象に残ってるのは、いつも深夜話してて、最後のほうに足の裏をなでるんですよ。

春日俊彰:
誰の?

若林正恭:
自分の足の裏を。マエケンさん。足の裏を愛しそうにみるんですよ。自分の。なんか自分の体の中で、好きな部分が足の裏だけなんだって。

春日俊彰:
どういう事だよ(笑)

若林正恭:
「どういう事ですか」って訊いたら、「自分の体で足の裏だけが美しい」って。

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